萬覚書

Carpe Diem. Seize the day.

夕刻時の仮眠によって眠ることができない仕事を明日に控えた深夜

貨幣は、教科書的に言えば、価値の尺度、交換・決済手段、価値貯蔵の役割があり、自らの欲するものの対価として払うことで初めて意味を持つ。その点で、金はどこまでいっても目的ではなく手段となる。

一方で、美(美意識)はどこまでいっても手段ではなく目的となる。

所作の美しさ、競技スポーツにおける技の美しさ、芸術作品の美しさ、人やモノのビジュアルや造形の美しさ等々、それを媒介にして他の目的を達成することはなく、それ自体が究極の目的(目的を順々に矢印でつないで一番右にくるもの)となる。

俺が柔道をやる理由は強さで制圧することでも金儲けのために体力をつけるわけでもなく、巴投げで描く曲線の美しさであり、崩しとタイミングの美学であり、それ以上のものはない。

 

純粋な貨幣愛はなく、純粋な美意識はある。

 

我々社会人が日頃囚われてる所得の多寡、損得勘定、費用対効果、公平感などは、飽くまで心を充足させる手段にすぎないはずだが、それが目的であると倒錯してしまいがちである。

 

俺が明日も金融市場から収益を得るために働くことの目的は、俺自身の給料や会社の金儲けなどではなく、俺自身の純粋な美意識であると信じたい。そうでないとただ虚しいばかりである。